糖尿病は持続的な治療と
日常的なケアが重要です。
糖尿病になってしまうと、普通の生活を送ることはできないと思われてしまいがちですが、血糖のコントロールをしっかりと行うことができれば、健康的な日常生活を送ることができます。
血糖のコントロールで合併症を未然に防ぎ、ご自身の体の異変に即座に気付くための日常のケアと注意点を下記にまとめています。ご確認ください。
自己管理のためのケアと注意点
毎日すること
- ■血糖値を測り、記録ノートに記入する
- (インスリン注射・インクレチン注射の方のみ保険適応)
- ■食事計画を守る
- ■指示どおりに薬を飲む
- ■インスリンを注射する
受診のたびにすること
- ■血糖自己測定(SMBG)の記録用紙(自己管理ノート)を持参する
- (医師の判断の助けとなる)
- ■HbA1c値(指先穿刺・約8分間で測定可能)を聞き、
次の受診までの目標を決める - ■足を診てもらう
- (靴と靴下を脱いでおくと忘れずに診てもらえる)
- ■血圧を測ってもらう
定期的に行うこと
- ■眼科で詳しい目の検査を受ける
- ■血中脂肪を測定してもらう(脂質検査)
- ■尿蛋白を検査してもらう(尿検査)
- ■足を詳しく検査してもらう
食事のケアと注意点
糖尿病の方の食事は、食材を6つの表に分け、80キロカロリーを1単位として食べられる量を決定します。
1日に摂る単位は、体型などによって変わってきます。
食材については下記の表を参考にしてください。
食品の分類 | 食品の分類 | ||
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主に炭水化物を含む食品(Ⅰ群) | 表1 | 穀物・いも・炭水化物の多い野菜と種実・豆(大豆を除く) | 炭水化物を多く含みます。炭水化物の多い野菜には、かぼちゃ、とうもろこし、れんこん、などがあります |
表2 | くだもの |
主に炭水化物(果糖)を含む食品です。くだものはビタミン、ミネラルや食物繊維が豊富ですが、糖尿病の方では血糖の上昇や血中の中性脂肪の増加を招く場合があるので食べ過ぎには注意しましょう。 1日の適量は1日1単位(80kcal)※とされています。いつどのようにとるかは主治医や管理栄養士と相談してください。 干しくだものやくだものの缶詰はビタミンの含有量が少なく糖度が高いため、し好食品として扱います。 |
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主に炭水化物を含む食品(Ⅰ群) | 表3 | 魚介・肉・卵・チーズ・大豆とその製品 | 主にたんぱく質を多く含みます。脂質の含有量によって、1単位の分量の違いが大きいので注意しましょう。干物、練り製品、佃煮、加工品などは食塩を多く含むので、なるべく控えましょう。 |
表4 | 牛乳・乳製品 (チーズを除く) |
カルシウムの供給源として重要ですが、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミンも多く含みます。 | |
主に脂質を含む食品(Ⅲ群) | 表5 | 油脂・多脂性食品 |
主に脂質を含む食品です。多脂性食品とは、ごま、ピーナツなどの種実類や脂質を多く含む肉(ベーコン、ばら肉)などのことをいいます。油脂や多脂性食品は少量でもエネルギーが高いので摂取量を守りましょう。 動脈硬化予防のために、なるべく植物油を使いましょう。 |
主にビタミン・ ミネラルを含む 食品(Ⅳ群) |
表6 | 野菜(炭水化物の多い一部の野菜を除く)・海藻・きのこ・こんにゃく |
主にビタミン、ミネラルや食物繊維を含みます。野菜はいろいろとりあわせて、1日に300g(1単位)以上を朝食、昼食、夕食に分けて食べましょう。 緑黄色野菜は、ビタミン、カルシウムや鉄分を多く含みます。毎日100g以上食べるようにしましょう。 漬物は、食塩を多く含んでいるので、控えましょう。 |
調味料 | みそ・さとう・ みりんなど |
調味料の表には、「エネルギー量を無視できない調味料」がのっています。うす味の習慣をつけ、調味料は控えめに使いましょう。 |
食事の際に気をつけること
- ■毎食、表1(主食)、表3(主菜・たんぱく質の多いおかず)、
表6(副菜・野菜料理)を食卓に揃えましょう - ■味付けは薄味にしましょう。また、塩分過多を回避するため干物、加工品、
塩蔵品、漬物、汁物類の食べすぎには注意してください。 - ■フッ素加工のフライパンやノンオイルドレッシングなどを使い、
油の摂り過ぎを回避しましょう。 - ■外食をする際は、ご飯を少なめにしてもらう、揚げ物の衣や漬物は残すなどの 工夫をしましょう。
- 丼もの、一皿料理ではなく定食などを選び、野菜も不足しないようにしましょう。
- ■飲酒は医師の指示を受けるようにしましょう。
- ■菓子類やし好飲料は控えましょう。
- ■飲料は無糖のお茶類を選び、コーヒー、紅茶はさとうを入れないで飲むようにしましょう。
体のケアと注意点
皮膚のケア
糖尿病の方は、皮膚が敏感になっており、切り傷などの怪我が治りにくくなる傾向にあります。
皮膚に必要以上の負担をかけないよう、下記のようなことに気をつけましょう。
- ■刺激の少ない石鹸を使い、ぬるめのお風呂に毎日入りましょう。
- ■ひっかき傷やあざを作らないように注意しましょう。
- ■日焼けをしないよう紫外線対策をしっかりとしましょう。
- ■切り傷や擦り傷は石鹸と水で洗い、清潔な包帯を巻きましょう。
歯のケア
血糖値が高い方は虫歯や歯周病のリスクが高まります。
- ■毎日歯を磨き、デンタルフロスをなど使って清潔に保ちましょう。
- ■半年に1回は歯科医を受診してください。
- ■かかりつけの歯科医に自分が糖尿病だと伝えてください。
足のケア
糖尿病を原因とする血行不良や抵抗力への低下から、足の状態が悪化する事があります。
常に足の状態をチェックし異常があれば医師による診察を受けましょう。
- ■赤くなっていないか、腫れ、うおの目、たこなどがないかチェックしましょう。
- ■足の爪はまっすぐに切り、巻き爪を予防しましょう。
- ■履き心地の良い、ご自身の足に合った靴を選びましょう。
目のケア
糖尿病を原因とする目の病気は自覚症状をあまり強く感じません。
下記のような症状を感じた際は、眼科医による診察を受けましょう。
また、定期的に詳しい眼の検査を受ける事も重要です。
- ■ものがかすんで見えたり、二重に見えたりする。
- ■視野が狭くなった。
- ■黒い点が見える。
- ■目に圧迫感や痛みがある。
- ■薄暗い時に異常に見えにくい。